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生存中

えと、まだここを見てくれている心優しすぎる方はいらっしゃるのでしょうか…
半年以上も放置してました、おしょうゆです。
駄目人間にも程がありますね!!

深夜のテンションの力を借りて顔を出させていただきました。
しばかれても文句は言えません。
どうぞ、罵ってやってください。

ふと気付けば2010年が過ぎ去ろうとしておりましてびっくりです。

申し訳ありませんでした。


で、この深夜という時間に便乗して拙いですが小説上げてしまおうと思います←

現実の事柄とは何の関係もありません!
シリアス系な芋兄弟のお話。人名呼び。
いまいちまとまりきってない。
それでも大丈夫な方は続きへ


仕事の合間、何となく外が気になり窓に目を向ければ雪が散らついていた。
 
(雪、か…)
 
そのふわりふわりと舞う白さを認識した瞬間に胸騒ぎがする。
家に帰らなくては、そう思い上司に無理を言って帰らせてもらった。
視界の悪い中家路を急ぐ。
家に着くなり犬達の様子が少しおかしいことに気付いた。
クンクンと鳴いてまるでルートヴィッヒを急かすかのように忙しなく動き回っているのだ。
 
「どうかしたのか?」
 
そう言って頭を撫でてやれば何かを訴えるような瞳で見上げてくる。
そのまま、わしわしと犬達を撫でていると兄であるギルベルトが一向に現れないことに気付いた。静まり返っている家の中。
 
「兄さん! どこだ、返事をしてくれ! 兄さんっ!!」
 
バタバタと書庫、バスルーム、ここ数年使ってない部屋まで片っ端から部屋を開けていく。
外で降っている雪も相まってか、しん、としている家の中に焦燥感だけが募った。
 
――一人にするんじゃなかった…!
 
まだ北の大国から帰って来たばかりの兄であるギルベルトは体調も優れていない。
それに、自分には気付かせないようにしていたがギルベルトの身体には陵辱の痕が多々残っていた。
気付かせまいと必死な姿に何も知らない振りをしていたが、そんなことをされていくら気丈な性格といえども心に傷を負わないわけは無いのだ。
ギルベルトの異変に気付かなかった自分に苛立つ。
 
「兄さん! お願いだから返事を…」
 
一縷の望みをかけて、自室のドアを開いた。
カーテンも閉め切られて電気も着いてない部屋は真っ暗で目が慣れるまで何も見えない。
次第にぼんやりと見えてきた部屋の中。
片隅にシーツの固まりが見える。
ギルベルトが見つかったことに安堵してほっとして電気もそのままに傍へと歩みよった。
兄さん、一声掛けて肩に手を置く。
その瞬間、ビクッと肩が跳ねたかと思うと思いきり手を払われた。
 
「触んなっ!」
 
「っ!?」
 
シーツがハラリと落ちて、見えたギルベルトの瞳は鋭く手負いの動物のような荒々しくも研ぎ澄まされた雰囲気を纏っている。
いつもとかけ離れた姿とギルベルトから怒鳴られ、手を払われたことに呆然としているとギルベルトはシーツにもう一度くるまり自分の身体をグッと抱き締めていた。
 
(あの眼は兄さんがイヴァンに向けていた…)
 
暫し呆然とした後に、はっと我に返ると困惑している頭を整理する。
 
(これはあの頃の兄さんか…? フラッシュバック…、かも知れないな、なんせあれだけのことをされたのだから…。くそっ!)
 
目の前の震える背中を見て、あの時ギルベルトを引き留めることさえが出来なかった自分の無力さに歯噛みした。
今、過去のことを思い詰めていても仕方がないと思考を切り換える。
まずは目の前のギルベルトをどうにかすることが先決だ。
ひどく怯えてる様子のギルベルトを刺激しないように声を落として、優しく、優しく呼びかける。

「兄さん」
 
ピクリとギルベルトが小さくみじろいだ。
こちらに注意が向いたのがわかる。
 
(少し落ち着きを取り戻したのだろうか)
 
もう一度呼び掛けた。
 
「兄さん」
 
ゆっくりと、ギルベルトが顔を上げる。
そのままこちらへと視線を寄越した。
不安定に揺れている瞳。未だ小さく震えている肩。
だが、先程のように錯乱している様子は見られない。
今ならしっかりと話ができるだろう。
そう踏んで三度口を開いた。
 
「兄さん、俺がわかるか?」
 
「…ぁ、ル…ツ…?」
 
「ああ、そうだ」
 
虚ろに濁っていた瞳が徐々に焦点を結ぶ。
ルートヴィッヒの姿を確認すると泣きそうな顔になって、よろよろしながらもこちらに向かい歩いてくる。
縋るように伸ばされる手を取り、抱き締めた。
 
「っ…ルッツ、ルツ、」

ルートヴィッヒの胸元をしっかりと掴んでただただ名前を呼び続ける。
スーツが皺になる、とかそんなことは全然気にならなくて。
 
(兄の背中はこんなに華奢だっだろうか…)
 
自分が小さい頃に見上げた背中とは程遠い線が細くなった背中に手を回した。
 
「っ、、ルッツ…、ふっ……」
 
嗚咽を漏らし始めたギルベルトの冷えた身体を少しでも暖めようと強く抱き込む。
しゃくりあげる背中を何度も優しくさすった。
次第に落ち着いて行く呼吸が一定のリズムを刻む寝息へと変わるのにそこまで時間はかからなかった。
眠りに落ちているギルベルトをふわりと抱き上げる。
 
(軽いな…)
 
改めて離れていた時間を感じた。
そのままベッドへ運ぶ。ギルベルトを寝かせようと横たえさせるがどうしてもシャツを握る手が離れない。
 
シャワーは明日の朝浴びればいい。
 今はそんなことより優先すべきことがある。

そう思ってギルベルトの隣に寝転がる。
目の前の顔は目許が赤くなっていることを除けば幸せそうだ。
目許を親指でゆっくりなぞる。
むずがゆいのか小さく頭を振って、それから寒いのかすり寄ってきた。
少しずつ冷たかったギルベルトの身体が暖まってきたことに安堵を覚え、もう少し抱き寄せる。
ふと、窓を見れば吹き荒れている雪。
白銀の世界があの食えない大国を思い出させた。

貴方は未だ雪に囚われているのだな。
もう、渡すものか。
 
そう決意を新たに誓った。
 
「良い夢を、兄さん」
 
額に軽いキスを一つ。
その時服を掴んでいた手が握り込まれたことには気付かなかったことにしよう。


「融けない氷」


いつか、この手で融かすから。
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